今日は真面目な話をします。
なぜって、世の中が連休中で皆さんが仕事のことなんぞ考えたくないときに仕事の話をするのです。笑
「GW中も休みなしで大変だね。」と声をかけていただきますが、
正直その辺で大変だと思ったことは1度もありません。
好きで自由にやっている仕事ですが、
仕事である以上はお金に関するエトセトラから逃避することはできません。
自分の仕事に金額をつけるのは非常に難しいものです。
「オーナーは感情と勘定」
というすんばらしい名言を酒の席で残した方がいらっしゃいました。
感情に偏ってもダメ。 勘定に偏ってもダメ。
このことはやはり常に考えています。
現在、オーダーメイドの靴の金額はオープン時に比べて少し上がっています。
そして、今後も現在と比べて上がっていくはずです。
(もちろんべらぼうに上がることはあり得ませんが。そもそものうちの工房のコンセプトから外れてしまうので。)
「しっかりと先を見越した価格設定をしておかないと。途中から価格を上げて納得してもらうのは難しいよ。」
とオープン当初にアドバイスをいただいたことがあります。
必要以上に儲けを出せという意味ではありません。
材料原価・経費と自分の労働とを鑑みて適切な金額をはじめからしっかりつけなければ
いずれ立ち行かなくなるよという意味のとてもまっとうなアドバイスです。
僕にはできませんでした。
その時点でそれだけの金額をいただける靴だと自分の中で思えなかったからです。
いくら1人1人の足に合わせて手間ひまをかけて丹精込めて仕上げようが、
目の前に出来上がる靴に説得力と結果が宿らなければまるで意味がないのです。
それから経験を積み、技術が向上して、
目の前に出来上がる靴の説得力と結果が少しずつ力強くなってきたので、それを価格に反映させています。
その流れがこれからも続くだろうと。
とてもとてもシンプルな話です。
変わらない視線で常に自分の仕事を客観的に見て、適切と思える価格で提供する。
感情に流されず、勘定に流されず、
今の自分の仕事にどれほどの価値があるか。
決して必要以上に儲けに走ることなく、決して自分の仕事を安売りすることなく。
これが僕の中では誠実で健全と思える感情と勘定なのです。